富弘美術館を訪ねて〜年を重ねることの醍醐味〜

群馬県みどり市にある富弘美術館は「星野富弘さん」という方の「詩画」を展示している美術館です。


http://www.city.midori.gunma.jp/tomihiro/

富弘さんは、1946年生まれ。
身体能力にめぐまれ、器械体操をされていたそうですが、中学の体育教師になりクラブ活動の指導中に事故で頸椎損傷、手足が不自由となりました。

入院中に口に筆をくわえて文学や絵を描き始め、現在に至ります。

ものすごく運動神経に恵まれているスポーツマンは、いろんなことができてしまうゆえに、常にケガのリスクがついてまわりますね。スポーツ万能なヒトの寝たきり生活…そのストレスと絶望感は想像を絶するものがあります。

わたしは星野さんの詩を子供のころから読んでいて、とってもなじみがあります。自宅の居間には毎年、富弘さんのカレンダーがかかっていました。

富弘美術館ができたのは、1991年。
わたしはこのころ関西に住んでいたけれど、どうしてもこの美術館を訪れたくて、電車を乗り継いでここまでやってきたことを覚えています。

そして、今回訪れるのが3回目。あのころ、まさか自分がぐんま県民になってるとは想像もしてなかったです。人生わからないものですね!!

星野さんの詩を読んで、年齢とともに、自分の人生で体験してきた様々な出来事やそれにまつわる感情を投影するようになり、共感の幅と深さが増してきます。

今日、一番ココロに残ったのは、このサフランの花と詩

冬があり夏があり
昼と夜があり
晴れた日と
雨の日があって
ひとつの花が
咲くように
悲しみも
苦しみもあって
私が私になってゆく

「自分らしくあること」
というのは人生の一大テーマなんだと思います。
自分らしくあるということは簡単なようで難しい。特に日本ではね。

一生分の時間と経験と体験を費やして、悲しんだり、苦しんだり、時には笑ったり喜んだりしながら、人は自分になっていくのかもしれない。

子供のころには、こんなこと絶対に気が付かなかったと思います。星野さんの詩に限らず、自分の体験、経験、教養など積み重ねてきたものを通して芸術を愉しめるようになっていく…年齢を重ねるということの醍醐味はこういうところにあるのだと思いました。
ところで今回、特別展として星野さんの元気に走り回っていた子供のころの絵が展示されていました。その保存状態の美しさもびっくりですが、星野さんの絵の上手なこと!!

写真不可のため、撮影できなかったけれどウェブサイトから1枚。1957年(11歳)の時に描いた小学校の時の担任の先生の絵です。色使いとか塗り方とかめっちゃうまい!そしてこの先生の写真もあったのですが、本当に雰囲気つかんで似てるんです!!

わたしは「星野さんは体育の先生だった→絵は特に得意でも好きでもなかったが、描いているうちに上手くなった」と勝手に思い込んでました。もともと上手かったんですねえ…星野さん、スイマセン!

美術館は遠いかもしれないけれど、本屋さんなどで見かけたらぜひ触れてほしい星野さんの作品。きっとあなたのココロに触れる1枚があると思います。

新版 愛、深き淵より。

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花の詩画集 鈴の鳴る道 星野富弘

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いのちより大切なもの (Forest books)

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