ゲルギエフ&マリインスキー管弦楽団 東京公演@サントリーホール

2年ぶりの来日公演で、春からチケットを確保して楽しみにしていた公演。
演目はストラヴィンスキーの3大バレエ曲

火の鳥(1910年/原典版
ペトルーシュカ(1911年/原典版
春の祭典

数年前からゲルギエフのツイートとfacebookをチェックしているのですが、ここ数年あんまり演奏されていない曲です。

たぶん…ゲルギエフがあまり好みじゃない…または演奏しすぎて飽きたのではないかと勝手に想像している。

ゲルギエフの好みで曲目が決まるかどうかはわからないけれど、プロコフィエフショスタコーヴィチの方が圧倒的に演奏回数が多いし、彼自身のインタビューなどを見ているとこの二人の作曲家にはかなり思い入れがあることがわかる。

実際、2012年に行ったミッケリフェスティバルでは1週間にわたって彼らの演奏を聴いていたが、ストラヴィンスキーは一度もなかった。

だから、とっても楽しみにしていました。

演奏された火の鳥は、原典版。つまり全部演奏するってこと。私が普段よく聴いているのはゲルギエフウィーンフィルの演奏(2000年4月録音)のもの。マリインスキーの音の方がやはり華やかさがある。
そしてなにより本当に打楽器がうまい。ティンパニーの食いつき方はいつみても感心。ゲルギエフとオケの一体感が感じられ音もスピードも自由自在。ホールを破壊するような爆音と信じられないぐらい繊細で美しい弱音が交互に聴こえ、すっかり翻弄されちゃいました。

3つの中では火の鳥が一番よかったですが、最初から集中と緊張でちょっと疲れてしまった。

ペトルーシュカもソロパートがどれも上手くて楽しめた。トランペットもオーボエもフルートも最高です。ドラマチックで音の表情をつくるのは本当にうまい。やはりバレエやオペラの演奏の数をこなしているから、間の取り方がうまいですよね。

春の祭典も出だしのファゴットも素晴らしく、ぞくぞくするようなリズムとスピードで鳥肌がたちました。

ストラヴィンスキーの音を使って物語や情景を表現する力が本当にすごいと思う。火の鳥は鳥!ペトルーシュカは人形!春の祭典はいけにえの儀式!って感じなのです。そして、不協和音がこれほどの芸術になるとは、ストラヴィンスキーって天才!

彼らは音色も自由自在ですが、ストラヴィンスキーの音はやや硬めで、最初しばらく違和感がありました。しかし、アンコールのリャードフのバーバ・ヤガーでは、一転して硬い音が華やかで柔らかい音に!私がよく知っているマリインスキーの音なのでした。

マリインスキーの音は、他のどのオケとも違う色彩があり、音を聞くとロシア正教の大聖堂の色を思い出します。

次は土曜日の所沢でチャイコフスキープロコフィエフ
今度はどんな音なんでしょうか!
楽しみです。

追記1:指揮棒は、まさに焼き鳥の串!ゲルギエフは以前、レコード芸術のインタビューにて箸で指揮したことがあると語っていたので、今回のもの…!?

追記2:洋子チェスキーナさんのこと。ベネツィア在住の富豪、洋子さんがゲルギエフのプライベートジェット、レーベル、コンサートの実現にいたるまでかなりバックアップをしてくださっている。彼らが日本でこんなにたくさん公演をしてくれるのは洋子さんのおかげでもあると思っている。本当に感謝!