2015年5月30日 ウィーン国立歌劇場 ワーグナー「ラインの黄金」

ギリシャの記事をアップしているところですが、実際はウィーンに戻ってきています。
せっかくなので、臨時で昨日みたオペラについてアップします^^(後日、記事の場所を移動するかも)

ウィーン国立歌劇場で「ニーベルンゲンの指環」の第2サイクルがはじまりました。

ここにくるのは4度目だけど毎回写真を撮ってしまう♪美しい建物です。

通称「リング」と呼ばれているワーグナーのこの約15時間のオペラは4日にわけて演奏されます。オペラの中でも難解で長いとされるこの作品を生で鑑賞するのはたぶん最初で最後だと思います。(4つのすべての作品をDVDで持っているけれど、忙しい日常生活の中で、自宅で1つ4時間近くかけてじっくり見てなどいられないものです。)

まず第1作目は「ラインの黄金
これは4つの中で最も短い2時間半。(休憩なし)

劇場でプログラムを買って、またあらすじのおさらいをしてみる。
日本語あります^^

が、5行ぐらい読んだら挫折しそう…
人物相関図もあります^^


(それにしてもワーグナーの頭のなかって…)

簡単にいえば、「ニーベルンゲン族、神々、巨人たち」の3つの世界の人たちが、世界を支配できるとされる「指環」をめぐる物語ですね。

ヨーロッパに来て10日ほど、疲れも出てきているし、ちょっと心配…ではありましたが、始まってみるとわかりやすい工夫がされた演出とドラマチックな演奏で最後まで引き込まれました。

今回の見え方はこんな感じ(88ユーロの席)

オケの演奏は、前半3分の1ぐらいは、なんだか活気がなく半分寝てるような演奏で??でしたが、途中からだんだん本気を出して鳴らすべきところはどーーんと鳴らすメリハリのある演奏で、なるほどーそりゃ最初から本気だしてたら2時間半疲れますもんね、と妙に納得してしまいました。音楽はポップで明るい感じで、効果音もわかりやすくて私的にはよかったです。これで演奏もダラダラだったら本当に疲れるオペラだと思う。

最後はどーーんと盛り上げ会場はおおむね「ブラボー」が多かったように思います。

歌手の方は、WOTAN(ヴォータン)のTOMASZ KONLECZNYさんが、ちょっと弱かったかなあ〜。
神々の長なのだけど、神々が数人いる中で「どの人だっけ?」と探してしまうぐらい影が薄く存在感がなかった。

演出も白と黒を基調とした色に、巨人や女神たちはわかりやすい衣装を身に着け、アルベリッヒが蛇に変身する場面ではスクリーン映像を使ったこれもわかりやすい演出でした。ウィーンのオペラは作る方も見る方も保守的で、それほど奇抜な変わったことをしないので安心してみられます。(オペラを見飽きてる人には奇抜な演出も面白いのだと思いますが、わたしはさらについていけなくなります)


(プログラムより)

「総合芸術」といわれるオペラは、鑑賞するこちらにも相当の教養(神話、宗教、叙事詩、歴史…などの知識、音楽、舞台の演出、衣装に関するの知識と感性)が必要とされるもので、この「教養」というものを身に着けるためには時間と深い思索、自分なりに築いてきた哲学などの積み重ねで長い時間を必要とし、ネットで情報を消費しているだけでは絶対に身につかないものです。

こういうオペラをみると「ああ、もう少し自分に教養があったら…」と思わずにはいられません。

現代の時間の流れには合わないかもしれないし、なんでもすぐに忘れてしまう自分にはなかなか到達できない領域なのですが、ただ刺激に反応するだけのエンターテイメントよりも、わずかでも自分の感性と知識を使うことのできる楽しみを増やしたいと思っているのです。